7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:29:55.93 ID:xlfJ8ydk0
折木「千反田を無視しよう」
ここ数ヶ月、千反田は何かと付けて強めに絡んでくる。
そう、「気になります」と。
当然の如く省エネ生活を心掛ける俺にとっては、全く真逆の存在であり且つ省エネを邪魔する存在が千反田である。
俺が居なかったら氷菓の事も、その他色々どうなってた?
それを分からせたいから無視をする。
引用元:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1346470109/
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:30:51.54 ID:xlfJ8ydk0
える「折木さんどうしたのですか?」
無視だ
折木「そういや里志、総務委員って何をしてるんだ?」
える「もしや事件が起きたのですか!?私、気になります!!」
千反田は無視されていることを知らずに、俺に顔を近づける。
里志「そうだね……最近では放課後のクリーンアップウィークの準備だね。名ばかりの美化委員会のために色々と下準備をしなくちゃいけないんだ」
折木「そうか……忙しくはないのか?」
里志「今のところは大丈夫かな。今月はイベントも無いし、これと言って仕事は無さそうだよ」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:32:19.29 ID:xlfJ8ydk0
里志の言葉に合わせ、「ふむふむ」「そうなのですか」と呟く千反田。
える「総務委員会が何かに絡んでるんですよね?折木さん!!」
折木「……」
える「おーれーきーさん??」
折木「……」
える「何か考えてます?」
折木「あ、そうだ、伊原を見ないんだが」
える「麻耶花さんなら漫研に行ってるそうです」
折木「伊原はどこにいるのだろう?里志」
里志「今千反田さんが説明したじゃないか?」
える「?」
千反田は俺の顔にキラキラが失せた瞳を向ける。
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:34:51.74 ID:xlfJ8ydk0
折木「千反田?さぁよく分からん。俺は伊原の話をしているんだが」
える「……」
里志「ちょっと奉太郎、目を覚ましなって」
折木「よく分からん……」
もちろん千反田が隣にいる事は十分に気付いてる事だ。しかし、いつもイレギュラーな事に付き合わせようとする千反田の頭を冷やせているだけなのだ。
折木(千反田許せ)
える「ちょ、ちょっとお手洗いに……」
地学準備室から逃げ出すように出て行った千反田、俺はその後姿を目で追ってやった。
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:37:17.07 ID:xlfJ8ydk0
里志「どうしたんだい? あれは流石に千反田さんに失礼じゃないのか?」
折木「あいつはすぐに俺に頼り過ぎる。だから少し俺のありがたみをだな……」
里志「最低だね、奉太郎。それは詭弁だ」
折木「別にいいだろ。後で謝るつもりだ」
里志「それは本当に奉太郎は正しいと思ってるの? 結果的に千反田さんを傷付けてしまってると思う」
折木「さぁ……」
里志「奉太郎!!」
ガラガラ
麻耶花「ふ、ふくちゃん!?」
部屋に入った麻耶花は里志がいつにも見せない怒声を聞いて大きな声を上げた。
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:38:59.27 ID:xlfJ8ydk0
麻耶花「ちょっと落ち着きなって!!」
里志は机を鷲掴み、立ち上がって俺を見下ろしていた。
折木「すまなかった……配慮が足らなかった」
里志「僕に言っても意味が無いって分かってるよね?」
折木「ああ、分かってる」
麻耶花「ちょっと何があったか話しなさいよ、折木」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:40:21.60 ID:xlfJ8ydk0
麻耶花「あんた、最低……ほんっと最低」
折木「少しくらい無視しただけで、それほど……」
麻耶花「折木まったく分かってないのよね」
折木「なんだよ」
麻耶花「ちーちゃんは……その……」
麻耶花「あんたを信頼してるのよ」
折木「信頼?」
麻耶花「これまであんたがしてきたこと。十分凄いわ。氷菓の事も……全部。それをあの子はっ!」
里志「まぁ麻耶花も落ち着きなって」
麻耶花「さっき落ち着いてなかったのふくちゃんじゃない」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:43:24.52 ID:xlfJ8ydk0
里志「これ以上は不毛だよ。奉太郎も反省はしてるよ」
折木「千反田の事……正直ウザイと思ってたさ」
麻耶花「折木あんた……」
折木「だけどっ!!」
俺はつい声を荒げてしまった。
確かに俺は千反田に省エネ高校生活を邪魔された。だがそれはまんざらでもなかった。
千反田のおかげで高校生活を充実できているのも事実だ。
折木「千反田に思い知らせるつもりだったが、結局自分の傲慢さを思い知らせれた……」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:44:08.01 ID:xlfJ8ydk0
>>18
同じ時間にスレ立てした人がいて立てれなかったりすることがあって
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:45:50.41 ID:xlfJ8ydk0
折木「結局傷付けてしまって……」
麻耶花「分かったらちゃんとちーちゃんに謝りなさいよ」
折木「ああ」
里志「奉太郎、しっかり自分の気持ちを伝えるんだ。それとべんざk」
ガラガラ
折木「千反田!」
里志のセリフが終わる前に、千反田が割って入るように戻ってきた。
える「……少し遅れてすみません。あ、麻耶花さんも来てたんですね」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:47:28.00 ID:xlfJ8ydk0
千反田の目は「気になります」の時のキラキラとした活気溢れる物でなく、少し濁って、そして充血した目であった。
折木「……」
麻耶花「ちょっと漫研の用事あるから出るね!!」
里志「あ、麻耶花頑張ってね」
麻耶花「ふ、ふくちゃんも用事あるんでしょ!!行くわよ」
里志「ちょっと袖引っ張ったら伸びるよ麻耶花!!」
二人は(特に麻耶花だが)空気を読んで出て行った。もちろん、今は千反田と二人きりだ。
える「……」
千反田は少し俺から距離をとって立っている。
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:49:21.15 ID:xlfJ8ydk0
折木「……」
える「……」
折木「……すまなかった」
える「?」
折木「いや……その……さっきは」
える「だ、大丈夫です……」
折木「俺が何をしたか分かってるんだよな?」
える「……」
折木「千反田がいつも気になる気になるうるさいから……無視したらどうなるかと思って……」
える「やっぱり私は折木さんにとって邪魔者だったにでしょうか?」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:50:54.14 ID:xlfJ8ydk0
折木「違うっ!その……俺が悪いんだ」
折木「お前を試すような事をして、お前に俺のありがたみを思い知らせようと……だけど、気付かされた。里志に伊原にだ」
千反田は何一つ表情を壊さず一言一句俺の言葉を丁寧に聞いている。
折木「千反田、お前のおかげで高校生活も充実している。俺には十分過ぎるほどに充実させてもらってる」
折木「俺は愚かだ。こうやって恩を仇で返す真似をしてしまっているからだ」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:52:07.86 ID:xlfJ8ydk0
折木「本当にすまなかった、許してくれとは言わん。せめて……謝らせてくれ」
俺は精一杯頭を下げた。冷やせと言われれば、覚めてると言ったこの頭は今千反田に向けて下がっている。
える「いいんです折木さん……」
える「私も折木さんに感謝してるのです。古典部の活動の事もそうですが、その他にも色々とお世話になったり……」
える「折木さんは言いました。『高校生活が充実したのは千反田のおかげ』と」
える「私も折木さんのおかげで高校生活が充実しています。嬉しい限りです」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:53:19.75 ID:xlfJ8ydk0
折木「……」
える「顔を上げてくださ折木さん」
える「折木さん?」
折木「許してくれた?」
える「許しませんよ?」
千反田はにこやかに残酷な言葉を俺に投げかける。
折木「……」
える「今度は明日折木さんを無視しようと思います」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:53:26.61 ID:Drg44SQ40
ほーたろーかわいいよほーたろー
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:54:32.66 ID:xlfJ8ydk0
折木「そ、それは……すまなかった……」
俺はもう一度頭を下げる。
える「冗談です」
千反田は笑いながら頭の上でそう囁いた。
折木「そっ!そりゃないだろっ!……あっ!?」
思い切り頭を上げて反論しようとした。すると、千反田の顔との距離が数センチ。互いの息が分かる距離に近付いてしまった。
える「……」
折木「……」
える「なんだか折木さん、いつもの私みたいですね」
折木「からかうな」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:55:33.31 ID:AtSJ/83sO
ケンカの後のセックスは燃える
分かってるな?
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:55:47.82 ID:xlfJ8ydk0
何はともあれ、俺は千反田に謝ることが出来た。俺が傲慢であったのがいけなかったのだ。
そんな感じに総評に入るが、何か引っかかる物があった。
折木「そういえばどうして千反田は目を腫らしてるんだ? まさかそんなにも無視されたのがショックだったのか?」
える「そっ、それは……乙女の秘密ですっ!」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 12:58:53.68 ID:xlfJ8ydk0
える「やっぱり明日折木さんを無視しようと思います」
折木「すまなかった」
える「もう決めましたから」
折木「そ、そりゃ……」
える「じゃあ、今日のうちにたくさんおしゃべりしましょうか」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 13:03:07.42 ID:xlfJ8ydk0
える「それとも今から無視を?」
折木「って言うか何故俺が千反田とたくさんおしゃべりしたい、無視されるのが嫌な人間になってるんだ?」
える「そうじゃなかったのですか?」
折木「……」
える「折木さん可愛いですね」
折木「……からかうな」
END
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/01(土) 13:41:12.02 ID:m2M2aOlA0
大天使チタンダエル
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- 2012/09/01(土) 16:30:00|
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