ルルーシュ（まずは手っ取り早く、金でも集めてみようかな。フハハハハハ）

ルルーシュ「そこの君！」

少年「えっ？　あ、なんですか」

ルルーシュ「少し私にお金を貸して貰えないかな」

少年「えっ、いや、無理です」

ルルーシュ「なぜだ？」

少年「い、今、お金は持ってないです」

ルルーシュ（この少年･･････！）

ルルーシュ「ほぅ。つまり金を持っていないから私には渡せないと」

少年「は、はい」

ルルーシュ（ククク。見え透いた嘘を。いいだろう、その嘘、すぐにあぶりだしてやる！）

ルルーシュ（この、ギアスの力でな！）

ルルーシュ「お前は、その場で跳ねろ！」ｷｭｲｰﾝ

少年「！？　はい」

ﾋﾟｮﾝ　ﾁｬﾘﾝ

ルルーシュ「やはり貴様、金を持っているな！」

少年「あっ、しまった」

ルルーシュ「その金を私に貸してもらおうか･･･！」

少年「嫌だ！」ﾀﾞｯ

ルルーシュ「あっ！　待て！」ﾀﾞｯ

ﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯﾀ･･･

ｶﾞﾔｶﾞﾔ

ルルーシュ「くそ！　混雑しているな！」

ルルーシュ（このままでは人ごみに紛れて逃げられてしまう･･･！）

ルルーシュ（なんとかこの大衆を･･･ギアスを使うか！）

ルルーシュ「道を開けろ！」ｷｭｲｰﾝ

ｶﾞﾔｶﾞﾔ

ルルーシュ（誰も俺の目を見ていない！　これではギアスがかからない！）

ルルーシュ（まずは皆の注目を集めなければ･･･！）

ルルーシュ「俺の目を見ろ！」ｷｭｲｰﾝ

ｶﾞﾔｶﾞﾔ

ルルーシュ（そうだ･･･！　注目が集まらなければギアスが効かない、故にギアスで注目を集めるのは不可能！）

このルルはダメだ！！

これはシャーリーにも見放されるレベルww

ルルーシュ（こうなったら仕方がない、あまりスマートなやりかたではないが･･･！）

ルルーシュ「おい！　そこいる愚民ども！！！　俺に注目しろ！！！」

市民A「あん？」

市民F「なんだ？」

市民H「ん？」

ルルーシュ（皆の注目が集まった！　今だ！）

ルルーシュ「道を開けろ！！！」ｷｭｲｰﾝ

市民A「！？　おお」

市民F「！？　はい」

市民H「！？　どうぞ」

ルルーシュ「クソ！　数人しかどいてくれない！」

ルルーシュ（やつとの距離は広まるばかり･･･！　このままでは･･･）

ルルーシュ（！　そうか！　俺としたことが、この方法があった！）

ルルーシュ「あの少年を捕まえろ！」ｷｭｲｰﾝ

老人「ほぇ？　あの少年･･････うむ。まかせろ。よっこらせ」

ルルーシュ（くそっ！　あの老人ひとりにしかギアスがかからなかった！　もう一度だ！）

ルルーシュ「おい！！！　俺を見ろ！！！」

市民B「うるせえな」

市民R「なんだよ、アイツ」

市民W「変なやつ。無視無視」

ルルーシュ（だめだ！　この数秒で変人認定されたか！　皆が目をそらす！）

ルルーシュ（こんなことをしている間にも、あの少年に逃げられる！　しかたない）

ルルーシュ「おじいさん！　急いでください！」

老人「そう急かさんでくれ。足腰が弱くてな」

ルルーシュ「ええい！」

ルルーシュ「肩を貸しますから！　急いで！」

老人「ありがとう」

ルルーシュ（くそ！　完全に見失ったか！？　おのれぇ！）

老人「こんなに運動するのは久しぶりじゃ」

ルルーシュ（遅い！　遅すぎる！）

ルルーシュ（くっ、とんだ荷物を背負い込んで･･･　ん？）

ルルーシュ（俺がこの老人に肩を貸す必要はないんじゃないか？）

ルルーシュ（俺としたことが･･･！　気が動転してミスを犯したな･･･！）

ルルーシュ「おい！　そこの女！」

女「はい？」

ルルーシュ「そこのお前も！」

男「え？」

ルルーシュ「手伝え！」ｷｭｲｰﾝ

女「！？　はい」

男「！？　了解しました」

ルルーシュ（ククク。そうだ、俺がこの老人に肩を貸さずとも･･･）

ルルーシュ（ギアスで誰かに頼めばいいのだ）

ルルーシュ「おじいさんに手を貸してくれ。一緒に少年を追うぞ！」

男&女「「はいっ」」

老人「よいせ･･･こらせ、ふぅ」

女「無理しないでくださいね」

男「苦しかったら言ってください」

ルルーシュ（っく！　冷静に考えたら、俺が手ぶらになっても、意味がない！　老人の移動速度はあがらない！）

ルルーシュ（はやく追いかけないと完全に逃げられてしまうぞ！）ｲﾗｲﾗ

ルルーシュ「ほらはやく！　急いで！」ｿﾜｿﾜ

男「そんなこと言っても、おじいさんはそんなに急げませんよ」

ルルーシュ「急いでもらわなければ困る！」

女「そんなに急いでるならあなた一人で行けばいいじゃないですか」

女「このおじいさんがいないといけない理由でもあるんですか？」

ルルーシュ「えっ？」

ルルーシュ（そうだ！　俺としたことが、そもそも老人を同行させる理由が無いじゃないか！）

ルルーシュ（老人を仲間に引き入れたことばかりに意識が集中し、本来の目的を見誤ったか！）

ルルーシュ（おのれぇ･･････）

ルルーシュ「じゃあ俺は先に行くぞ！」ﾀﾞｯ

ルルーシュ（くそ！　あの少年、どこへ行った！）

ルルーシュ（あそこの主婦に聞こう！）

ルルーシュ「おい！　そこの女！」

主婦「はい」

ルルーシュ「聞きたいことがある」

主婦「ええ」

ルルーシュ「少年を見たか答えろ！」ｷｭｲｰﾝ

主婦「！？　･･･はい。たくさん見ましたよ」

ルルーシュ「たくさん！？」

主婦「はい。公園とか、道端とか、ほら今もあそこに少年が数人」

ルルーシュ（しまった･･･！　対象が大まかすぎたか！）

ルルーシュ（『俺の質問に答えろ』とかけるべきだった･･･！）

ルルーシュ（ギアスは一度しかかけられないぞ･･･！　他の人に･･･いや、待て！）

ルルーシュ「えっと、青いジャンパーを着て、小学生くらいの少年なんですけど」

主婦「はい。それならさっき、あっちへ走っていくのを見ましたよ」

ルルーシュ（ククク。冷静に考えれば、極秘の情報を聞き出すわけでもないのだからギアスをつかう必要がなかったな）

ルルーシュ「ありがとうございました！」ﾀﾞｯ

ﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯﾀ･･･

ルルーシュ（みつけた！）

少年「ふぅ･･･ここまでくれば安心･･･」

ルルーシュ「おい。貴様」

少年「！？　しまった！」

ルルーシュ「おっと、逃がしはしないぞ」

少年「くぅ･･･」

ルルーシュ「とうとう追い詰めたぞ･･･！」

少年「くそ･･･」

ルルーシュ「ククク」

少年「･･･」

ルルーシュ（･････････ぬぅ。何故俺はこの少年を追いかけていたのか、失念した･･･）

少年「このお金は、渡さないぞ！」

ルルーシュ（『お金』･･･？　そうだ思い出した。ククク、思い出したぞ！）

ルルーシュ「フハハハハハ、そうはいかんよ。その金を私に貸してもらおう」

ルルーシュ「それが私の目的なのだから」

少年「駄目だ･･･！　意地でも渡すもんか！」

ルルーシュ「無駄だ。少年よ、君は私に逆えん。なぜなら･･･」

ルルーシュ「その金を私に渡せ！」ｷｭｲｰﾝ

少年「いやだ！」

ルルーシュ「なん･･･だと･･･？」

ルルーシュ（しまった！　俺としたことが、やつには既にギアスを･･･！）

ルルーシュ（おのれぇ･･････！）

ルルーシュ「っく･･･」ｼﾞﾘｯ

少年「･･･」

ルルーシュ（どうする･･･このまま力づくでも奪うか･･･）

ルルーシュ（いや、そんな野蛮な行為には及びたくない･･･）

少年「･･･」

ルルーシュ「･･･」

老人「おーい」

ルルーシュ&少年「「！？」」

女「ふぅ、やっと追いつきましたね」

ルルーシュ（そうか！　この老人を忘れていた･･･！）

老人「ふぅ･･･つかれた」

少年「おじい･･･ちゃん･･･」

ルルーシュ「なに！？」

ルルーシュ（おじいちゃん？　なんだ、どういうことだ？）

老人「孫･･･やっと追いついたぞ」

孫「･･･おじいちゃん」

ルルーシュ「おい。これはなんだ、どういう」

男「シッー！」

女「ちょっと黙って！」

ルルーシュ「ぐぬぬぅ」

老人「･･････孫。わしは」

太郎「ごめん！　おじいちゃん、ごめんなさい！」

老人「孫･･･」

太郎「僕、我が儘だってわかってたんだ･･･。おじいちゃんの身体が弱ってきて仕方ないんだって」

老人「いや、悪いのはわしじゃよ。ふたりでずっと遊びにいこうと約束していたのに･･･」

太郎「違うよ。悪いのは僕だ。我が儘言って家を飛び出して、おじいちゃんが無理して追いかけてきてくれたのに」

老人「追いかけるのは当たり前じゃ。わしの大切な孫じゃからな」

太郎「僕、僕ね。別にいいんだ。おじいちゃんとどこかへ遊びにいけなくても」

太郎「おじいちゃんと、近所を一緒に散歩できるだけで。いっしょにおしゃべりしているだけで」

太郎「だから、僕、お小遣いで、おじいちゃんに杖を買ってあげようと思って」

老人「孫･･･」

太郎「おじいちゃん。いっしょに･･････いっしょにさ、公園を散歩しようよ」

太郎「おじいちゃんが疲れたら、僕が肩を貸すよ。おんぶだってするよっ」

太郎「だから･･･。その、ごめんなさい。おじいちゃん･･･」

なんか知らんが孫が太郎になってた

太郎→孫ね

老人「孫･･･！」

孫「おじいちゃん！」

ﾋｼｯ

老人「捕まえた。捕まえたぞ･･･孫･･･」

孫「ごめんなさい･･･！　おじいちゃん大好き･･･！」

女「･･･ｸﾞｽｯ」

男「･･･うんうん」

ルルーシュ（なんだこれは･･････）

ルルーシュ（なんなんだこれは･･････）

老人「お兄さん。ありがとう」

孫「･･･」

ルルーシュ「もうその金を渡せとは言わん。孝行するのだな。少年」

孫「･･････はい」


男「･･･ふぅ。なんか、いい気分･･･ですね」

女「そうですね･･･」

男「･･･」

女「･･･」

男&女「「あ」」

男「あ、その、すいません」

女「いえ、あの、そちらからどうぞ」

男「えっと･･･これから、どっか一緒に、その、食事でも。どうですか？」

女「･･････はい」

老人「じゃあ」

孫「さようなら」

男「ええ。身体にお気を付けて」

女「孫くん。おじいちゃんを大切にね」

孫「はい」

老人「ははは」

孫「えへへ」



ルルーシュ「･･･」

ルルーシュ「ククク。老人と少年、男と女、俺の介入によって強固な絆が生まれたか」

ルルーシュ「いや、これもギアスの力か？　無限大の可能性を秘めているな」

ルルーシュ「これがあれば･･････」

ｲｲﾊﾅｼｶﾅｰ?

C.C.「ご機嫌だな。ルルーシュ」

ルルーシュ「まあな、ギアスの可能性を十分に見いだせた。これは使えるよ」

C.C.「ほう」

ルルーシュ「今回の実験で、俺はひとつの結論を出した」

C.C.「聞かせてもらおうか」

ｶﾞﾀｯ

ルルーシュ「ギアスがあればなんでもできる！！！」　ﾋﾞｼｨ

C.C.「このピザの生地は少し薄すぎるな」ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ

ルルーシュ「人の話を聞けよ･･････！」

C.C.「で、そのなんでもできる力で、やるのか。ルルーシュ」

ルルーシュ「ああ。ナナリーのために、ナナリーが安心していられる世界を、俺が･･････！」



～おしまい～