417: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:17:49.59 ID:CPK7BhnA0
違うと言って欲しかった。
折木さんの推理は間違っていますよ、と。
しかし。
える「さすがです、折木さん」
千反田が発した言葉は、自分のした事……千反田がした事を認める物だった。
奉太郎「……どうして、こんな事をしたんだ」
える「動機、ですか」
える「それを言う前に、ちょっと気になる事があるんです」
える「どうして折木さんは、私が犯人だと思ったんですか?」
奉太郎「どうでもいいだろ……そんな事」
これ以上、言いたく無かった。
理由は確かにある。
だがそれを言えば千反田が犯人だと言うような物で……言えなかった。
『 奉太郎「古典部の日常」 目次 』引用元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1346934630/
418: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:18:18.74 ID:CPK7BhnA0
える「ダメです、折木さん」
える「私、気になるんです」
いつもより弱々しく、千反田はそう言った。
える「正直に言います、ここまで早く見抜かれるとは思っていませんでした」
える「理由を、教えてください」
言うしか、ないのだろうか。
奉太郎「……分かった、だが」
奉太郎「説明が終わったら動機を話してもらうぞ」
える「ええ、分かりました」
……仕方ない、やるか。
419: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:20:01.04 ID:CPK7BhnA0
奉太郎「まず、時間の問題だ」
える「時間? 10分のですか?」
奉太郎「ああ、まずはそこが間違いだった」
奉太郎「古典部の部室から男子トイレまで行くのに掛かる時間は、古典部の部員ならまず知っている」
奉太郎「ゆっくり行けば15分……【急いでいけば10分】ってな」
える「ええ、そうですね」
奉太郎「犯人側の視点に立ってみろ、わざわざ時間を多く見積もって犯行をする奴がいるか?」
奉太郎「そんな事をするのは余程呑気な奴くらいだろう」
奉太郎「つまり、犯人が実際に犯行を行えた時間は【5分】だ」
える「……5分、ですか」
奉太郎「とても短すぎる、見つかるリスクも高すぎるんだ」
奉太郎「そんな中、犯行を行う奴は居ない」
奉太郎「時間が5分、余分にあったお前以外にはな」
420: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:20:55.78 ID:CPK7BhnA0
える「……なるほど、確かにそうですね」
える「でも私は福部さんの証言によってアリバイがあるんです」
える「それはどうお考えで?」
奉太郎「里志の事か、あれはお前にとって予想外だったんじゃないか?」
奉太郎「10分の時間があったお前にも、里志が来るという予期せぬ事態によって犯行時間は5分となってしまった」
奉太郎「そして、里志は見てしまったんだよ。 お前が部室を荒らす姿を」
える「……」
奉太郎「これはお前にとって不運な出来事だった、しかし同時にアリバイを作る事ができるチャンスでもあった」
奉太郎「里志を共犯にする事によって、な」
える「……福部さんはそれを認めないと思いますよ、証拠がありません」
421: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:21:29.14 ID:CPK7BhnA0
奉太郎「俺は記憶力がいい方ではないが、不自然な言葉ははっきりと覚えている」
奉太郎「あいつはこう言った」
【それでホータローがトイレに行っている間に千反田さんを連れて行ったって訳だね】
奉太郎「ってな、俺が特別棟の1Fに行ってお前らに状況を知らせた時だ」
奉太郎「何故、里志は俺がトイレに行っていた事を知っていたんだ?」
奉太郎「ただ部室から千反田を連れて行っただけなのに、お前はわざわざそんな会話をしたのか?」
える「……」
奉太郎「恐らく、こんな会話があったんだろう」
422: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:22:00.80 ID:CPK7BhnA0
~~~
える「ふく……べさん……?」
里志「ち、千反田さん? 何をしているんだい!? ……何か、あったの?」
える「……すいません、理由は言えないんです」
える「本当に申し訳ありません、少し……協力して頂けませんか」
える「折木さんは今お手洗いに行っています、今ならまだ、大丈夫です」
~~~
423: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:22:26.48 ID:CPK7BhnA0
奉太郎「まあ、こんな感じだろう」
奉太郎「大雑把にだが、この様な会話があったと俺は推測している」
奉太郎「……何故、里志が協力したのかは分からないがな」
える「……分かりました、それは認めます」
当らない方が、よかった。
える「でも、ですよ」
える「それだけで私が犯人、というのは少し難しいと思うんです」
える「今のは全て折木さんの推測、あくまでも確実な証拠とは言えません」
える「他に、理由はあったんですか?」
424: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:22:58.92 ID:CPK7BhnA0
まだ、まだやるのか。
これ以上、お前が犯人だなんて真似……くそ。
奉太郎「……分かった、話を続ける」
奉太郎「次に不審な点は、部室を片付け終わった後だ」
奉太郎「具体的には、お前から貰ったペンダントを俺が見つけた時だな」
える「あの時、ですか」
奉太郎「千反田は記憶力が良かったな、会話を思い出してみろ」
える「……」
千反田は首を傾げ、回想をしている様子に見えた。
える「特に変な所は無いと思いますが……」
奉太郎「あるんだよ、少し待ってろ」
そう言うと、俺は覚えている限りの会話をメモに取り、机の上に置いた。
425: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:23:25.19 ID:CPK7BhnA0
~~~
奉太郎「……くそ」
里志「……ホータロー」
える「人の物をここまでするなんて……酷すぎます」
える「折木さん、見つけましょう」
える「ペンダントを割った犯人を……部室をこんな事にした犯人を!」
~~~
426: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:24:01.05 ID:CPK7BhnA0
える「普通、ではないですか?」
奉太郎「ああ、そうかもしれない」
える「……真面目にやってます?」
奉太郎「ふざけてこんな真似……俺はしない」
える「……そうですか、ではどの様な不審な点が?」
奉太郎「確かに会話だけでは不審ではない」
える「会話だけでは? どういう意味でしょうか」
奉太郎「状況によって、変わるんだよ」
える「状況……ですか」
奉太郎「つまり、俺とお前の位置関係だ」
奉太郎「あの時俺は【千反田の正面に座っていた】そして【ペンダントは胸の辺りで開いた】んだ」
奉太郎「千反田の視点からでは、見える訳が無いんだよ」
奉太郎「ペンダントがどういう状態になっていた、なんてな」
える「……!」
奉太郎「それが分かるのは、お前がペンダントを割ったからだ」
奉太郎「……間違いないな?」
427: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:24:29.68 ID:CPK7BhnA0
える「……やっぱり、凄いですよ、折木さんは」
える「ですが、ですがですね」
える「……ペンダントに被害を受けたんですよね?」
える「それがどのような状態かは、ある程度予想はできる筈です」
える「その証拠も、決定的とは言えませんよ」
奉太郎「……もう、やめにしないか」
なんで……
俺は友達を。
好きな奴を犯人にしなければいけないのか。
……
える「まだ、ダメです」
える「納得させてください、折木さん」
える「気になるんです、私」
奉太郎「……」
428: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:25:22.06 ID:CPK7BhnA0
奉太郎「……これが最後だ」
奉太郎「推理に、感情は入れてはいけない」
奉太郎「けど、俺にはどうしても引っ掛かる事があったんだ」
奉太郎「……無事だった氷菓と、伊原の絵だ」
える「……氷菓と、絵」
奉太郎「氷菓は窓際に飾ってある、とても大切な物のようにな」
奉太郎「ただ荒らすのが目的の犯人だったとしたら、氷菓が無事というのはあり得ない事なんだ」
奉太郎「仮に俺が【自分とは全く無関係の場所】で部屋を荒らすとしよう」
奉太郎「そこにはとても大切そうに飾ってある文集が置いてあった」
奉太郎「……当然、その文集は破り捨てるなり……する筈だ」
奉太郎「犯人には手を出せない理由があった、それは自分にとっても大切な物だったからなんだ」
奉太郎「伊原の絵も同様、大切な物だったんだよ」
奉太郎「……お前にとってな、千反田」
429: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:25:54.93 ID:CPK7BhnA0
える「……そう、でしたか」
奉太郎「俺は、それに気付いたとき少しだけ安心した」
奉太郎「千反田はやっぱり、千反田なんだなってな」
奉太郎「お前自信の優しさは、隠せなかった」
える「……お見事です、折木さん」
える「もう一度、認めます」
える「今回の部室荒らし、犯人は私です」
える「大正解……ですね」
なんで、こんな事になってしまったんだ。
どうして千反田を責めなければ、いけないんだ。
奉太郎「答えてくれるんだろうな、部室を荒らした理由」
える「ええ、約束ですからね」
える「……お話します、理由は一つです」
430: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:26:26.46 ID:CPK7BhnA0
える「私は、折木さんに嫌われたかったんです」
奉太郎「……俺に、嫌われたかった?」
える「ええ、折木さんならきっと……私が犯人だと気付いてくれると思っていました」
える「福部さんを巻き込んでしまったのは申し訳ありません、福部さんは責めないでください」
つまり、ここまで千反田の予想通り……という訳なのか。
奉太郎「……俺に嫌われたかった理由は、なんだ」
える「……それは、お答えできません」
える「でもいつか、話せる時が来るかもしれないです」
431: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:27:11.48 ID:CPK7BhnA0
なあ、千反田。
お前の言葉を聞いて、俺は確信した。
お前は俺に嫌われたくなんて、無かったんだなって。
だって、そうじゃなければ【いつか話せる時が】なんて言う訳ないじゃないか。
俺に嫌われてしまえば、その機会さえ無くなるのだから。
奉太郎「……そうか、一つ聞きたい事がある」
える「はい? なんでしょうか」
奉太郎「お前は本当に、心の底から俺に嫌われたいと思っていたのか?」
える「っ!……」
明らかに、千反田がうろたえた。
それは既に、俺の質問に対する答えであったのだろう。
奉太郎「……俺がお前の事を嫌うなんて事は、絶対に無い」
奉太郎「例えその嫌われたくなった理由を教えてもらってもな」
える「それは、残念です」
える「……私の作戦は最初から失敗だったって事ですね」
千反田は笑いながら、俺に言ってきた。
432: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:27:46.74 ID:CPK7BhnA0
奉太郎「そうなるな」
える「……折木さん」
える「まだ、ありますね……何か」
……こいつは、どこまで鋭いんだ?
奉太郎「お前は、やっぱり千反田なんだな」
こいつの観察力は、俺もよく知っている。
それが……千反田えるという奴だ。
奉太郎「……もう一つだけ、理由がある」
える「教えてください、全部」
奉太郎「これが本当に最後だ、お前が俺に嫌われたいと思っていなかった理由、だな」
奉太郎「俺の割られたペンダント、濡れていたんだよ」
える「……濡れていた?」
433: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:29:23.89 ID:CPK7BhnA0
奉太郎「ああ、最初は割られた拍子に水か何かが出たのかと思っていた」
える「違うんですか?」
奉太郎「違う、一度拭いたらもう濡れたりはしなかった」
奉太郎「俺は、人の変化に気付きづらい」
奉太郎「だから特別棟の1Fでお前に会ったときも、気付かなかった」
奉太郎「こうして正面から話し合って、ようやく気付いたよ」
奉太郎「……お前の眼が、赤くなってることにな」
奉太郎「ペンダントが濡れた原因は、千反田が泣いていたからだ」
434: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:29:51.62 ID:CPK7BhnA0
える「ふふ、そこまで分かっちゃうんですね」
える「……やっぱり、私には完全犯罪は無理みたいです」
える「折木さんに探られては、どうしてもばれてしまいます」
える「……すごいですよ、本当に」
える「なんでも分かっちゃうんですね、折木さんには」
奉太郎「今回は、今回ばかりは」
奉太郎「知りたくなかった、けどな」
える「そうです……か。 本当に、私の心の中まで推理されるとは思っていませんでしたよ」
奉太郎「……一年も一緒に居たんだ、そのくらい分かって当然だ」
435: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:31:50.04 ID:CPK7BhnA0
千反田の顔に、変化があった。
下唇を噛み、何かを堪えていた。
える「わたし……やっぱり、だめですね」
える「決めたのに、自分で決めたのに」
える「やっぱり……おれきさんには……」
える「さっきまで、おれきさんと……話す前まで、決めていたのに……」
える「おれきさんと、話していたら、……揺らいでしまいます」
える「……わたし、きらわれたく、ない……です」
3度目、くらいだろうか。
千反田の泣き顔を見たのは。
俺は、千反田に近づき、肩を掴み。
奉太郎「前にも言っただろ、俺はお前の味方だ……嫌いになんて、ならない」
千反田を、抱きしめた。
436: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:32:23.47 ID:CPK7BhnA0
える「すいません……ひっぐ……私、とんでもない事を……うっ…」
える「おれきさんに……ううっ……嫌われたほうが……よかったかもしれません……っ」
える「……ごめんなさい……ごめんなさい……」
奉太郎「すまんな、お前の気持ちに気付けなくて」
奉太郎「今回の事は伊原には黙っておく、それがあいつの為にもいいだろ」
奉太郎「もし、さっき言ってた理由を俺に話せるときが来たら、絶対に話してくれ」
奉太郎「俺は、千反田の味方だから」
小さく、千反田が頷いた。
437: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:33:53.24 ID:CPK7BhnA0
これで、千反田の方は無事に終わった。
……里志の方にも、聞きたい事がある。
奉太郎(まあ、とりあえずは後回しだ)
どうなるかと思ったが……千反田の優しさが行動に出ていた事もあり、俺はそこまで危惧していなかったのかもしれない。
、、、それから1時間程、千反田を抱きしめていたのだが……
える「あの、折木さん……ちょっと恥ずかしいです」
奉太郎「う……あ、す、すまん」
急いで千反田から俺は離れた。
える「ふふ……冗談です、ありがとうございます」
奉太郎「あ、ああ」
千反田は元気が戻った様だ。
438: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:34:21.10 ID:CPK7BhnA0
える「帰りましょうか、もう暗くなっちゃってます」
奉太郎「……そうだな、家まで送って行く」
える「い、いえ。 大丈夫ですよ」
奉太郎「いや、送って行くよ……心配だからな」
える「……では、お願いします」
本音を言うと、もう少し……千反田と一緒に居たかった。
勿論口には出せないが。
439: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:36:42.97 ID:CPK7BhnA0
~帰り道~
える「……やはり、今回の事は私が馬鹿でした」
える「もっと他に、方法があったと思います……」
奉太郎「その話はもう終わりだ。 それとな」
奉太郎「他の方法は絶対にやめてくれ、疲れる」
える「……そうですね、ふふ」
える「折木さんの頼みなら、もうしません」
える「折木さんには、どう頑張っても嫌われないと……分かっちゃいましたから」
奉太郎「……ああ」
える「あ、後ですね」
える「その……一つだけ、いいでしょうか?」
奉太郎「ん、どうした」
える「折木さんは……私の事、どう思っていますか?」
440: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:38:16.96 ID:CPK7BhnA0
どう、思っているって。
それはつまり、そういう事なのか。
なんて答えればいい? というか答えていいのか、これ。
というか急だな、どうすればいいんだ。
まずいな、焦ってるぞ俺。
奉太郎「ち、千反田の、事か」
落ち着けよ、落ち着け。
奉太郎「凄く、真面目な奴だと思う」
別に変な事を言う訳じゃない。
奉太郎「優しい奴だし、純粋でもある」
ただ思っている事を、言えばいいだけ。
奉太郎「それに、その……可愛い」
奉太郎「じゃなくて、綺麗」
奉太郎「……いや、すまん」
441: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:39:51.84 ID:CPK7BhnA0
ああ、馬鹿か俺。
これが、穴でもあったら入りたいという状況か。
……あまり嬉しくは無い、学習の仕方だったな。
える「え、え、あの……それって、折木さん……」
奉太郎「いや、いやなんでもない。 忘れてくれると……助かる」
俺がそう伝えると千反田はニコッと笑い、答えた。
える「だ、だめです。 忘れられません」
える「私も、折木さんの事は……その」
える「……すいません、まだ、ダメみたいです」
奉太郎「べ、別に……いいさ」
内心ちょっと、悲しかったが……まあ、仕方ないのか。 でもなぁ……。
える「あの、今度……今度はちゃんと、言ってくれると嬉しい……かもです」
える「今は、まだダメなんです。 でもいつか、お願いします」
奉太郎「……却下だな」
442: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:40:35.12 ID:CPK7BhnA0
える「え、そんな……」
奉太郎「……冗談だ」
える「酷いです! 折木さん!」
千反田が膨れ顔で数歩先に進んで行く。
奉太郎「すまんすまん、分かった。 その時まで……待ってる」
その時というのは、千反田が俺に嫌われたかった理由を話してくれる時、だろう。
える「……はい、お願いします」
振り返り、そう言う千反田の笑顔は……とても綺麗だった。
そしてまた、千反田の家に向かい歩き出す。
奉太郎(しかし、意識し出すと妙に恥ずかしいな……それは千反田も一緒か)
える「お、折木さん。 何か喋ってくださいよ」
奉太郎「……喋ることが特に無い、無駄な事はしたくないんだ」
443: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:42:10.80 ID:CPK7BhnA0
える「……じゃあ今日、私の所に来てくれたのは無駄な事ではなかったんですね」
える「それと、私を家まで送ってくれたのも、ですね」
奉太郎「そ、それは」
やはり、駄目だ。
千反田と居るとどうにも調子が狂ってしまう。
奉太郎「まあ……そうなるな」
える「ふふ、ありがとうございます」
奉太郎「千反田と居ると、省エネが捗らん……」
える「もう、折木さんそればっかりじゃないですか」
444: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:42:42.31 ID:CPK7BhnA0
える「頭を動かすのも、体も動かすのも、悪くないですよ」
奉太郎「ううむ……たまには、そう思う事もある」
える「なら良かったです」
える「ではまた、気になる事があったら折木さんに相談させてもらいますね!」
奉太郎「……ああ、引き受けてやる」
える「え、あ、ありがとうございます」
俺が素直に言ったのが、そんなに意外だったのだろうか……
奉太郎(ま、いいか。 やらなければいけないことなら手短に、だ)
奉太郎(今日はもう一つ、やらなくてはいけないことがあるけどな……面倒だ)
第14話
おわり
445: ◆Oe72InN3/k 2012/09/16(日) 23:44:35.78 ID:CPK7BhnA0
以上で第14話、終わりとなります。
質問等ありましたら宜しくお願いします。
そして今回で書き溜めストックが底を尽きました。
なるべく早く投下出来る様にしますが、以前より間隔は落ちると思います。
446: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/09/16(日) 23:48:10.45 ID:IIE64jcIO
おつ
次も楽しみにしてる
447: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/09/16(日) 23:49:59.51 ID:xiSsKVu/o
乙
急いで書いてクオリティ落ちても誰も得しないから、ゆっくり書いてねー
450: ◆Oe72InN3/k 2012/09/17(月) 03:01:18.76 ID:E5Os0heU0
最終回よかったぁ……
概算映画でやってくれない物ですかね。
最終回記念で短編1個投下致します。
30分ほどで書いたので内容薄いですけどご容赦を。
*今から投下する話は 奉太郎「古典部の日常」とは一切関係ありません。
451: ◆Oe72InN3/k 2012/09/17(月) 03:01:58.02 ID:E5Os0heU0
~月曜日~
える「折木さん、昨日の推理もお見事でしたね!」
奉太郎「ふ、普通だろ。 あのくらいなら」
える「そんな事ありません! 折木さんだからこそ出来た事だと思います!」
奉太郎「わ、分かったからちょっと離れてくれ!」
える「あ、す、すいません!」
える(童貞はちょろいですね……)
奉太郎「全く、その顔を近くにするのはなんとかならんのか……」
える「ごめんなさい、悪い癖だとは思うのですが……」
奉太郎「ま、まあいいさ。 ……悪い気はせんしな」
える「え? すいません、最後の方が聞こえなかったのですが……」
奉太郎「い、いや! なんでもない、気にするな」
える「そうですか……気になります」
える(聞こえた聞こえた、もう少しで落とせそうですね)
奉太郎「か、簡便してくれ」
452: ◆Oe72InN3/k 2012/09/17(月) 03:02:25.62 ID:E5Os0heU0
~火曜日~
える「今日は少し、暑いですね……」
奉太郎「ああ、そうだな……」
える「汗でべたべたしてしまいます……」
奉太郎「そ、そうか。 それは……大変だなぁ」
える「折木さん、どうしたんですか? 顔が赤いですよ?」
奉太郎「な、なんでもない! 気にするな!」
える「いえ、汗もかいてますし……大丈夫ですか?」ピトッ
奉太郎「ば! 額と額をくっつけるな!!」
える「え、ご、ごめんなさい……折木さんの顔色が悪かった物ですから……」
える(目が泳いでますね……あと一押しでしょうか?)
える「では、手で……失礼します」
奉太郎「さ、触るんだったらおでこを触れ! 体中を触るな!」
える「あ、ごめんなさい……迷惑でした……よね」
奉太郎「い、いや……そういう訳じゃ……」
える「では! 触ってもいいでしょうか?」
奉太郎「あ、う……だ、だめだ!」
奉太郎「きょ、今日はもう帰る」
える(意外としぶといですね……)
453: ◆Oe72InN3/k 2012/09/17(月) 03:02:53.11 ID:E5Os0heU0
~水曜日~
える「今日は何をしましょうか! 折木さん!」
奉太郎「別に何もしなくていいだろう、特にする事がある訳でも無いし」
える「いいえ! それはいけません!」
える「折木さん、ちょっと後ろを向いてください」
奉太郎「後ろを? まあいいが……」
える「……私は誰でしょうか?」ピタッ
える(耳元で……そっと囁く……これでいけるはずです)
奉太郎「……ち、千反田」
える「正解です! さすがは折木さんですね!」
える(耳元に息をふーっと、どうでしょうか)
奉太郎「ひゃ! な、何をするんだ!」
える「折木さん、変な声が出てますよ……どうかしましたか?」
奉太郎「お、お前がそんな事をするからだろうが!」
える「そんな事……ちょっと分からないです」
える「私、何かしましたか?」
奉太郎「な、なんでもない。 忘れてくれ」
える「変な折木さんですね……」
奉太郎「あ、ああ。 今日はちょっと体調が悪いから……帰る事にする」
える(ガードが固いですね、明日はもうちょっと大胆に攻めてみましょう)
454: ◆Oe72InN3/k 2012/09/17(月) 03:03:19.71 ID:E5Os0heU0
~木曜日~
奉太郎「……」
える(小説に集中して私には気付いていないみたいですね……チャンスです)
える「おーれっきさん!」
奉太郎「わっ! な、なんだ千反田、いきなり抱きつくな!」
える「えへへ……折木さん暖かいです」
奉太郎「は……離れろ馬鹿! 誰かに見られたらどうするんだ!」
える「……見られても、いいですよ」
奉太郎「ち、千反田? それってつまり……」
える「折木さんに抱きついてる所を、見られても……私は構わないと言ったんです」
奉太郎「……」ゴクリ
える「……折木さんは……嫌なんですか?」
奉太郎「お、俺は……」
里志「やー! 今日もいい天気だねー! って……ホータロー!?」
える(ちっ)
える「……冗談です、折木さん」
奉太郎「そ、そうか……」
里志「え? 何をしてたの!? 今、千反田さんがホータローに抱き付いていた様な……」
える「気のせいです」
里志「で、でも確かに」
える「福部さん、私は気のせいですと言いました」
える「そうですよね?」
里志「あ、あはは……そうだね、気のせいだ」
える(少しくらい、空気を読めるようにならないんですかね……)
える(明日で今週は最終日……もうこうなってしまっては仕方が無いです。 最後の手を使いましょう)
455: ◆Oe72InN3/k 2012/09/17(月) 03:04:04.08 ID:E5Os0heU0
~金曜日~
奉太郎「……それで、話ってなんだ? 千反田」
える「あ、あのですね……」
える「実は、私」
奉太郎「ま、待て。 お前が言うのはもしかして……」
える「や、やめてください! 恥ずかしいんですから……」
える「……折木さんの、予想通りだと……思います」
奉太郎「そ、そうか。 こういうのって俺の方から言うべきではないのか……?」
える「ム、ムードが大事なんですよ! 私が言いたいので、言わせてください……」
奉太郎「……すまん、こういうのは慣れていなくて……」
える「大丈夫ですよ、そういう所も……好きなんです」
奉太郎「……」
える「私! 好きです! 折木さんの事が!」
える「いつも変な事をしてすいません……そのくらい、大好きだったんです」
奉太郎「……俺も」
奉太郎「俺も好きだ、千反田」
える「は、はい!」
奉太郎「千反田……」チュ
奉太郎(処女はちょろいな……)
おわり
457: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/09/17(月) 03:22:04.25 ID:ZWt1VkYBo
最終回神がかってたわ…
てか終わっちまったのがマジで悲しい…
乙
456: ◆Oe72InN3/k 2012/09/17(月) 03:04:33.40 ID:E5Os0heU0
明日から執筆頑張るので殴らないでください
458: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) 2012/09/17(月) 03:22:29.94 ID:rYpOAu2po
>>456
……(腹パン)
460: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) 2012/09/17(月) 15:10:45.53 ID:8OvpJGXNo
折木さんの筆おろしのお相手が誰なのか
私、気になります
461: ◆Oe72InN3/k 2012/09/17(月) 15:56:50.51 ID:E5Os0heU0
>>460
える(処女:落とし方は入須先輩直伝)
奉太郎(童貞:落とし方は入須先輩直伝)
結論
入須先輩はビッチ
462: ◆Oe72InN3/k 2012/09/17(月) 15:58:23.14 ID:E5Os0heU0
一応15話、半分程度終わりました。
今週の終わり頃には投下できるかと思います。
463: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) 2012/09/17(月) 16:05:17.02 ID:8OvpJGXNo
びっちな入須先輩はきっと3Pとかも画策してるな!
…(チラッ
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奉太郎「古典部の日常」 07
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- 2012/09/17(月) 21:54:00|
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