486: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:28:34.85 ID:4KtsUpEa0
こんばんは。
第11話、投下致します。
引用元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1349003727/
487: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:29:00.91 ID:4KtsUpEa0
摩耶花「1位はふくちゃんになりそうね……」
里志「どうかな、何が起こるか分からないからね」
える「諦めませんよ!」
借金まみれから登り詰めた千反田は力強くそう言った。
奉太郎「そうだな……俺もギャンブルでもするか」
える「駄目ですよ、堅実に行くのが大事です」
……お前が言うのか、それを。
摩耶花「そろそろ回してもいいかな」
える「あ、どうぞ」
伊原はそれを聞き、ルーレットを回す。
【1】
摩耶花「1かぁ……って」
488: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:29:30.46 ID:4KtsUpEa0
摩耶花「これ、さっき折木が止まったマスね」
……ああ、そういう事か。
摩耶花「はい」
そう言い、伊原はこれでもかと言うほどの笑顔を俺に向け、手を差し伸べる。
漫画家の職業カードを渡せ、と。
奉太郎「短い職だった」
摩耶花「似合わないから、仕方ないわよ」
摩耶花「自分に合った職業も大事よ」
……それがフリーターと言う事なのか。
奉太郎「まあ、忘れては居ないと思うが追突だぞ」
摩耶花「分かってるわよ、でも私、保険があるしね」
摩耶花「ここまで終盤になってきたら保険も意味無くなる可能性もあるし……丁度良かった」
489: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:29:56.59 ID:4KtsUpEa0
里志「いやいや、待ってよ」
里志「このマスは追突無効だよ? さっきも言ったじゃないか」
……あまり、記憶に無いな。
摩耶花「えー……じゃあ保険に入らなくても良かったなぁ」
里志「そうでもないさ、最後まで持っていれば資産として計算されるみたいだしね」
里志「まあ、払った額と同額だけど」
ならやはり、1回以上の追突は避けた方がいいだろう。
される分には構わないが。
ともあれ、これで俺はまたしてもフリーターへと逆戻り。
次は……千反田か。
先程のギャンブルで大分勢いが付いている、一番危険なのはこっちかもしれんな。
490: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:30:27.05 ID:4KtsUpEa0
える「では、回しますね」
【10】
える「10ですね」
える「ええっと」
【不思議な妖精が現れました。 願いを一つ叶えてくれます】
【全プレイヤーの中から一人を選び、その人の資産を10倍へとします】
える「10倍……ですか」
なんと言う事だ、こんなマスを考えた奴は碌な奴では無いな……
ええっと、今の千反田の手持ちは確か、3億くらいあった筈。
それが10倍になると……30億!?
491: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:30:53.01 ID:4KtsUpEa0
里志「そこが本当のゴールだったのかもね……」
摩耶花「2位争い、頑張ろうかな」
勿論、里志や伊原もその事実に気付く。
える「えっと、では折木さんの資産を10倍にしましょう」
奉太郎「え?」
思わず間抜けな声が出る、そしてその後に気付く。
これがもし、千反田の性質の悪い冗談だったとしたら……とんだ赤っ恥だ。
でも、俺は知っていたのかもしれない。
千反田はそんな冗談を言わない、と。
える「折木さんの資産を10倍に、と言ったんです」
える「先程のお礼です」
492: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:31:19.39 ID:4KtsUpEa0
奉太郎「……天使か」
いや、女神か。
女神、チタンダエル……いい響きである。
摩耶花「ちょっと、優しすぎない?」
える「いいえ、折木さんが数字を当ててくれなければ、私は今も借金があった筈です」
える「それに、折木さんはそこまで資産を持っていないので……勝負が決まるという事も無くて、面白いと思いませんか?」
……最後の言葉は余計だ。
里志「あはは、ホータローのヒモ生活の始まりって所かな」
奉太郎「俺だって一応働いているぞ」
里志「ま、これで千反田さんには逆らえないね」
奉太郎「……」
確かに、里志の言う通り。
これで何かしらのマスを俺が踏み、千反田を蹴落としたらそれは酷い事になるだろう。
多分、人生ゲーム所では無くなるかもしれない。
493: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:31:47.11 ID:4KtsUpEa0
里志「それじゃ、受け取りなよ、ホータロー」
そう言い、里志から金を受け取る。
今までの手持ちと合わせ、1億4千万。
最下位から一気に2位へと登り詰めた、なんとも大逆転の人生である。
そして回ってくる俺の順番。
奉太郎「よし、回すぞ」
【10】
里志「さっきから、10出すぎじゃない?」
奉太郎「1回、2が出たろ」
里志「それでもすごい確率だね……ホータローの早く終わらせたいって思いが届いてるのかもしれない」
奉太郎「それは嬉しい知らせだな」
奉太郎「えっと、マスは……」
494: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:32:13.90 ID:4KtsUpEa0
【世界一周旅行のチャンス! 好きな数字を選び、外れたら世界一周へとご招待!】
奉太郎「外れたら旅行なのか? 意味が分からんな……」
里志「これ、ちゃんと最後まで読んだ方がいいよ」
【世界一周へと旅立ったあなたは、5回休み】
奉太郎「……くだらん」
里志「当てるしかないね」
里志「大丈夫さ、さっきも当てたじゃないか」
とは言っても……他人のだったから気軽に選べた、と言うのもあった。
それとは違い、今回は自分のである。
……それなら、そうか。
奉太郎「千反田、数字を選んでくれ」
495: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:32:41.80 ID:4KtsUpEa0
える「え、わ、私ですか」
奉太郎「さっきは俺が選んで当たったんだ、次は千反田が選べば当たる気がする」
える「大丈夫でしょうか……」
まあ、別に外れても千反田を責める事なんてしない。
える「では……7でお願いします」
里志「いいね、ラッキーセブンだ」
奉太郎「分かった、じゃあ回すぞ」
そして、俺はルーレットを回す。
出た数字は……
【1】
ううむ、やはり10%の確率と言うのは中々に手強い物だ。
496: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:33:08.62 ID:4KtsUpEa0
える「ご、ごめんなさい!」
奉太郎「いいさ、気にするな」
奉太郎「後は結果を見守るだけと言うのも、悪くないしな」
える「で、ですが……」
奉太郎「千反田、ルーレットを回したのは俺だ」
奉太郎「それに、お前に数字を選んでもらったのも俺だ」
奉太郎「お前は悪くない」
える「は、はい……」
俺がそう言うと、千反田は渋々と言った感じで頷いた。
これで俺のゴールは無くなったが……まあ、疲れていたし丁度良かったのかもしれない。
色々と頭を使うのは、もう終わりにしたかった。
497: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:33:53.42 ID:4KtsUpEa0
里志「じゃあ、次は僕の番だね」
里志「ホータローも動けない事だし、一発ゴールを狙いたいなぁ」
里志「……よし!」
【7】
里志「……ここで7とは、さっき出るべきだったのかもね」
奉太郎「いいじゃないか、マスには何て書いてあるんだ?」
里志「ちょっと待ってね、ええっと」
【本日は2倍デー! プレイヤー全員の資産はなんと、2倍となります!】
里志「うへ……厳しいなぁ」
里志「ちょっと千反田さんに追いつくのは無理かもね、これは」
498: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:34:20.22 ID:4KtsUpEa0
摩耶花「で、でもまだ2位は残ってるわよ」
摩耶花「ちーちゃんは無理にしても、ふくちゃんには負けないからね」
奉太郎「俺はここに居るだけで2位になれる可能性が上がっただけで満足だな」
俺がそう言うと、またしても伊原に睨まれる。
何もしていないのに、本当にただこのマスに留まっているだけなのに。
所持金 保険 マス
摩耶花 2億1400万 生 28マス目
奉太郎 2億8000万 生/車 38マス目
える 5億8400万 生 37マス目
里志 3億1200万 生/車 48マス目
499: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:34:46.40 ID:4KtsUpEa0
摩耶花「私の番ね!」
【2】
摩耶花「……全然良いのがでないなぁ」
摩耶花「マス頼みね、これは」
【台風に巻き込まれる、しかし幸いな事に追い風となった! 1マス進みます】
摩耶花「たった1マスって……それに次のマスには何も無いし……」
里志「まあまあ、そんな事もあるさ」
摩耶花「ふくちゃんはいいかもね、次でほぼゴールできるから」
里志「あ、あはは」
怖い怖い、人生ゲームで仲違いとは……恐ろしいゲームだ。
える「次は私ですね」
500: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:35:13.11 ID:4KtsUpEa0
える「えい!」
【8】
える「ふふ、私にもゴールが見えてきました」
える「このマスも、何も無い様ですね」
える「ええっと、次は折木さんですが……お休みなので、福部さんですね」
里志「よし、流石にここでゴールしたい所だよ」
里志「後ろから千反田さんも追い上げてるしね」
里志「行くよ……!」
【1】
里志「……ちょっと酷いね、これは」
里志「自分の運の無さに驚きかな」
奉太郎「一つ一つ踏んで、人生を楽しんでいるって所が……里志らしいな」
里志「……それはどうも」
501: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:35:38.59 ID:4KtsUpEa0
里志「ええっと、マスによると」
【一発逆転の大チャンス! ルーレットから数字を3つ選ぶ事ができます、当たれば資産が2倍になります!】
【しかし外れた場合、残念……資産は全て、消えて無くなります】
里志「ギャンブルマスかぁ……」
奉太郎「でも、今までのより確率的には良さそうだな」
里志「ううん、そうなんだけどねぇ」
奉太郎「なんだ、当たれば1位だぞ」
里志「……いいや、パス」
里志「僕にはギャンブルは向いてないからね、外れる気しかしないよ」
里志らしいと言えば、里志らしい選択だろう。
里志「ま、そういう事で次は摩耶花の番だよ」
摩耶花「私はもうゴールできる気がしないんだけど……まあいっか」
502: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:36:06.94 ID:4KtsUpEa0
摩耶花「よいしょ」
【9】
摩耶花「9だね、もっと早く出てくれればいいのに!」
【あなたは決闘をする事になりました! 一人を選び、ルーレットで勝負をします】
【数字が大きい方の勝利、勝てば相手から1億円を受け取ります】
【負けた場合、あなたは相手に1億円を支払います】
摩耶花「嫌なマスだなぁ……」
伊原は確か……今の資産は2億程だろうか?
なんだか途中から計算が面倒になってきて、数えるのをやめてしまったが……恐らくその程度だろう。
2位を狙うなら相手は里志、可能性は限りなく薄いが1位を狙うなら千反田、と言った所か。
俺も選ばれる可能性はあったが……勝ったとしても始めにゴールするだろう里志には勝てなくなってしまう。
だとすると、選ばれるのは先程挙げた2名の内どちらかだ。
503: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:37:04.34 ID:4KtsUpEa0
摩耶花「……じゃあ、ちーちゃんで!」
ふむ……伊原も中々に勝負師だな。
える「受けて立ちます!」
千反田はそう言い、ルーレットに手を伸ばす。
える「最初は私でいいでしょうか?」
摩耶花「うん、いいよ」
える「では、回します」
そう言うと、ルーレットをゆっくりと回した。
【2】
なんと、ここで2を出すのか……
さっきのギャンブルやイベントマスで、運を使い果たしたのかもしれない。
える「2ですか……」
504: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:37:34.25 ID:4KtsUpEa0
摩耶花「……悪いけど、私の勝ちみたいね」
摩耶花「ごめんね」
そう言うと、伊原も続いてルーレットを回す。
【1】
摩耶花「……」
前言撤回、こいつの方が運は無いようだ。
える「……勝っちゃいました」
摩耶花「うう……ちーちゃん強すぎる」
奉太郎「千反田が強いと言うよりは、お前が弱いと言う方が正しいと思う」
摩耶花「なによ、じゃあ私と勝負する?」
奉太郎「お前がまたそのマスを踏めたなら、受けて立つさ」
摩耶花「……ふん」
俺がここまで挑戦的なのにも、理由がある。
里志は次でゴールするからである。
それならばもう、伊原に何を言っても俺に災いは降りかからない。
505: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:38:15.73 ID:4KtsUpEa0
える「私の番ですね」
える「では」
【2】
える「やはり、ゴールは厳しかった様です……」
里志「はは、それだけは譲れないよ」
奉太郎「どの道、千反田の勝ちだろうけどな」
奉太郎「それより、マスには何て?」
える「ええっとですね」
【流れ星が降り注ぐ中、あなたはお願いをしました】
【そんな願いを星達は叶えてくれます、プレイヤーを一人選び、選ばれた方の資産を0にします】
506: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:39:45.15 ID:4KtsUpEa0
える「……私、こんなお願いはしていませんよ」
いや、それは分かるが。
千反田がそんな願いをしない事くらい、ここに居る全員が分かっているだろう。
奉太郎「里志を選べば俺が2位」
里志「摩耶花かホータローを選べば僕が2位って事だね」
える「選べませんよ……そんなの」
難しい選択かもしれないが、選ばないとこのゲームは終わらない。
奉太郎「俺を選んで終わらせよう、別に俺は順位等気にしない」
える「それは……それは分かりますが」
……分かるのか。
える「でも、それでも出来ません」
俺はこの時、千反田が誰を選ぶのかが分かった。
それはもう、ほとんど確信と言っていいかもしれない。
507: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:40:44.75 ID:4KtsUpEa0
える「……あ」
そう言うと、千反田は何かを思いついた様に目を見開く。
える「プレイヤーと言う事は、人生ゲームをやっている人達ですよね」
える「それではですね、私は」
える「私を選びます」
……やはり、そうなるか。
奉太郎「お前ならそう言うと思った」
える「え、どうしてですか」
奉太郎「そういう奴だから……って思っただけさ」
える「ふふ、そうですか」
里志「やっぱり、千反田さんには適わないなぁ」
摩耶花「そうね、順位なんてどうでもよかったのかも」
える「駄目ですよ、ちゃんとゴールしてください」
里志「了解、じゃあ最後に……回すね」
508: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:41:59.69 ID:4KtsUpEa0
【10】
里志「最後にようやく10とはね、僕も運が悪い」
える「そうでもないですよ、福部さんが1位です」
奉太郎「ま、あって無い様な物だろう」
里志「ホータローの言う通りさ、今回のは引き分けって所かな」
摩耶花「そうね、また今度……やろっか」
奉太郎「却下で」
摩耶花「何よ、もう」
とにかく、物凄く長い人生ゲームはこれにて終わり。
後は片付けて……帰るだけだ。
奉太郎「じゃあ、片付けるか」
奉太郎「手短に終わらせて、真っ直ぐ帰ろう」
509: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:42:34.90 ID:4KtsUpEa0
える「そうですね、とても楽しかったです」
里志「まー、結果よりは過程が楽しかったかな、僕は」
摩耶花「あ、それちょっと分かるかも」
える「ふふ、私もですよ」
奉太郎「俺は……ちょっと違うな」
摩耶花「違うって、楽しくなかったの?」
奉太郎「……そう言う訳では無いが」
奉太郎「どちらかと言うと……」
里志「ホータローは、結果も過程もどっちでも良い、ってタイプだから」
奉太郎「……そういう事だろうな」
奉太郎「付け加えると、とっとと片付けて真っ直ぐ家に帰りたいタイプだ」
510: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:43:31.12 ID:4KtsUpEa0
える「折木さんらしいですね」
摩耶花「じゃ、そんな折木の意見を尊重して片付けようよ」
摩耶花「私もなんだか疲れちゃった」
これにて一件落着……とは行かない。
里志「ちょっと待って」
里志「人生ゲームと言ったらさ、あれがあるじゃないか」
……あれ、とは何だろうか。
いやむしろ、まだやる事があるのか?
俺のした考えは、千反田や伊原もしていた様で、顔に困惑が浮かんでいる。
511: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:44:05.88 ID:4KtsUpEa0
里志「これだよ、これ」
そう言いながら、里志が指を指すのは自分の手元にある紙。
正確に言うと、銀行の役目を担った里志が持っている金。
……まさか。
奉太郎「おい! やめろ馬鹿!」
どうやら千反田と伊原はまだ気付いていない。
それが手遅れとなってしまった。
里志は……そこにあった大量のお金を、宙へとばら撒いた。
512: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:44:46.25 ID:4KtsUpEa0
~帰り道~
奉太郎「とんだ災難だった……」
える「私も最初はびっくりしましたよ」
奉太郎「最初だけだろ、最後はお前も笑ってばら撒いてたぞ」
える「は、恥ずかしいのであまり言わないでください」
さいで。
奉太郎「にしても、本当に余計な時間を食ってしまった……」
える「たまにはいいじゃないですか」
奉太郎「ほとんど毎日の様な気がするんだが」
える「それでもいいじゃないですか」
奉太郎「……はあ」
そんな事を話しながら、千反田の家へと向かっていた。
何故かは分からないが、今年に入ってからと言う物、千反田を家まで送っていくのが習慣となっていたのだ。
真っ直ぐ帰る事が出来るのは……いつになるのだろうか。
513: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:45:16.04 ID:4KtsUpEa0
える「あ、そういえばですね」
突然、何かを思い出したかの様に千反田が口を開く。
える「少し、気になる事があるんです」
奉太郎「今からか? 明日にしてくれ」
える「いいえ、折木さんはもう答えを知っている事ですよ」
何だろうか……まあそれなら、いいか。
奉太郎「……何だ?」
える「私が、ギャンブルに勝った時……」
える「折木さんは何故、6を選んだんですか?」
える「何か、理由があった様ですが」
奉太郎「ああ、あれか」
奉太郎「……言わなきゃ駄目か」
える「はい、気になります」
……本当に単純に、浮かんできた数字なんだが。
514: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:46:24.23 ID:4KtsUpEa0
理由はある、だが少し恥ずかしい。
まあでも、千反田に嘘を付く理由も……無いか。
奉太郎「千反田える」
える「え?」
奉太郎「それで、6文字だ」
奉太郎「だから6を選んだ」
える「ふ、ふふ」
える「そうでしたか……なるほどです」
奉太郎「単純な理由さ、特に意味も無い」
える「でも私は、他にも良い数字はあると思いますよ」
奉太郎「他にも良い数字?」
515: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:47:02.87 ID:4KtsUpEa0
ううむ、何だろうか。
俺はしばし、腕を組みながら考える。
しかし答えは出ず、千反田に答えを求めた。
奉太郎「教えてくれるか」
える「ええ、勿論」
える「えっとですね……」
える「9や、5も良かったと思います」
9に……5?
千反田が言った数字の意味が俺には分からなかったが、わざわざ聞くのもあれだな。
家も見えてきた事だし、時間がある時にでも考えればいいか。
516: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:47:38.11 ID:4KtsUpEa0
奉太郎「9か5か……」
える「ふふ、折木さんには分かると思いますよ」
奉太郎「……そうだな、考えておく」
える「ええ、宜しくお願いします」
それから千反田と別れ、俺は家に帰る。
その数字の事を思い出したのは、風呂に入り……布団の中で目を瞑っていた時だ。
奉太郎「……9と5」
……まさか。
……いや、それしか無い。
俺はその数字の意味に気付き、顔に熱が篭るのを感じながら、目を閉じた。
第11話
おわり
第1章
おわり
517: ◆Oe72InN3/k 2012/10/17(水) 21:56:06.29 ID:4KtsUpEa0
以上で第11話、第一章終わりです。
乙ありがとうございました。
518: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/10/17(水) 22:01:47.12 ID:X45E/akz0
乙
6文字の理由は思ったとおりだったww
5文字と9文字も、そういうことなんだろうな
末永く爆発しろ!
520: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/17(水) 22:21:25.84 ID:LywmCfBxo
5文字をちょっと違う解釈してたから、8文字の間違いじゃね?と思っていたら…
5と9やら大した破壊力じゃねーかww
521: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/17(水) 22:44:05.76 ID:fL+2cybf0
いやいやそこは6文字と9文字で(ryなんて思ったらそういうことかよちくしょう!
奉太郎はさっさと灰色人生捨てて本気を出すべきww
523: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) 2012/10/17(水) 23:19:47.22 ID:hdllNbKk0
第1章終了乙です。
これはL的には9文字の方でしょうね。それにしてももう11話ですか。確かに前回よりも話数が長くなりそうですね。
第2章も楽しみにしています。
525: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/18(木) 00:32:11.47 ID:M+QKn45Zo
そーいや、絵は?(がくぶる)
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- 2012/10/19(金) 21:48:20|
- 氷菓
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